第28章 お預け ☆
石切丸「……なつみ」
「っ、あ……はい……ん……」
やはりやめさせるべきだろうかと考えていたところで名を呼ばれ上を向くと、唇に感じる柔らかい感触。
何度も感じたことのあるこの感じは……
「……!?」
なんなのかわかるとすぐに石切丸さんを押して離れようとすればそれに気づいて後頭部を押さえられてしまう。
こ、この人……外には鶴丸さんたちがいるのに!
「んーっ……ンンッ……」
女とて力が全くないわけではないので本気で押せばなんとかなるはずと試みてみるがびくともしない。
噛みついてやろうかという気にもなるが、石切丸さんは誰に見られても構わないのか一分、二分と長々と唇を重ね離してはくれない。
そうしているうちに私も呼吸の仕方がわからなくなるほど動揺してだんだんと息苦しくなると酸素を取り入れようと唇を開けたのが間違いだった。
その瞬間を逃すわけもなく何かが入ってくるとビクッと反応してしまう私に彼は密着し腰まで抱かれ今や抵抗なんてできる状態ではなく口内を舌で蹂躙される。
息苦しかったのもあって息が荒くなり望んでいなくても艶っぽい吐息が口端から漏れ出て恥ずかしさで瞳が潤んでしまう。
舌が絡まり合いこちらが好奇心から舌を絡め返そうとするもうまくいかず、だが石切丸さんがそれに気づいたからなのか頭を撫でてくるのが嬉しくて力が緩んでしまう。
「んんっ……ふ、ぁっ……ん」
ふわふわとする。
熱くて気持ちよくて何も考えられなくなって……。
きゅっと彼の服を掴むと私は欲のままに受け入れた。
何度もキスを繰り返してお互いの唾液を交換する。
薄く目を開けるとあの綺麗な藤色の瞳が近くにあることに不思議な気分になる。
長々とキスを続けたあとお互いに苦しくなって離れると糸が切れたように私は腰が抜けたように力を抜いてしまった。
石切丸「あれ、立てなくなるほど……良かったのかな……?」
「っ!」
恥ずかしい。
もうああはならないぞって決意を新たにしたはずなのにまたこんな……っ!
石切丸「私は今から遠征にいかないといけないからね。続きができなくて残念だけど……また後でね」
石切丸さんは私をその場に座らせると笑顔で行ってしまった。
一人残される私……。
恥ずかしくて穴があったら埋まりたい気分です。