第23章 寝床
……逃げ出してしまった。
刀剣男士を幸せに、笑顔にするために頑張るつもりがあのお綺麗な顔を平手打ちしたあげく逃げ出したのだ。
我ながら幸せの方向性を間違えている気がするが私には拒まず願いを叶える努力をするやり方しかわからないのだ。
「……審神者になって数日の私に欲情しないでよぉ」
だって数日だよ。
例えるなら高校入学して、教室で挨拶をして三日で淫らな関係になったとかそういうのだよ?
これから甘酸っぱい青春が、なんて爽やかなこと言ってられない事態に陥ってるんだよ。
爽やかどころか泥沼だよ。
既に数名の人とキスして、それ以上のことも出会って数日の人としてしまい……あげくには他の異性ともそういう関係になろうとしていただなんてビッチ悪女じゃないか!
刀剣と自分の幸せのために審神者になれよ☆
みたいなこといってた政府の人が、今ではとんでもない詐欺師にすら思えてくる。
いや、私は現代にいるよりも幸せになれてるけど……
「ビッチ審神者……そんな先輩っているのだろうか」
いるのなら、是非とも会ってみたい。
色恋から逃げていた私には今の状況はとても頭を悩ませてしまうことなんだ……せめて、流されないように助言を……
蛍丸「あーやっと見つけた」
背後から声が聞こえてきてビクッと身体が跳ねる。
気配も足音もなかった……。
「……ほ、蛍丸……」
少し頬を膨らませて怒ってるんだぞ、みたいに私を見る蛍丸の可愛さにきゅんとした。
か、かわいい……!
蛍丸「主って、よく動き回るよね……どこ探しても見つからないし……」
「あ、探してくれてたんだ……ごめんね……一日中動いてばかりいるのは今だけだから」
忙しなく動き回っているのに審神者としての仕事をなにもしてないだなんて遊んでいると思われそうだな……。
あ、編成のための名札、名前書いてない……。