第18章 来訪者
「あ、あの……こういうこと、聞きたくないのですが神気を注いでもらうって……霊力を流し込むのと一緒なら口からでも大丈夫、なんでしょうか」
「呪いが発動してから数日経つやろ?もう口からじゃ無理やろなぁ……間に合わへんと思うわ」
「じ、じゃあ……万が一、また呪いが発動するようなことがあればどうすれば」
ニコッと笑う政府の人(紙で顔見えないけど)。
苦笑いを浮かべる私。
察したくはないけど察しろということだろうか。
「……お前って、疑わずに何でも信じるよな。呪いとか言われて嘘とか思わんの?」
「え……呪い、なんですよね?」
「そやけど非現実的なことやし」
「そんなこと言われても……政府の人が本当だって言うことだから」
非現実具合でいったら刀剣が美形になるってことの方が夢物語のようにすら思えるし、呪いは藁人形とか、いろいろ聞いたこともあるから呪われてると言われても何ら不思議ではない。
母からあんなに嫌われていたのは呪いのせいだって……思いたいから。
「……ほな、血……採ろか」
「はい……気になったのですが、ちゃんと資格持ってるんですか」
「失敬な!これでもナース志望やったねんぞーちゃあんと資格はありますぅ!」
ナース志望って……こんな宇宙人みたいナースさんがいたら飽きそうにはないけど、不安になるな。
間違えた、とか言って変な薬投与されそ……
「……キャラ、変わったなお前」
「キャラって……現代にいたときは諦めてばかりで自分を抑えてたのもあるからそう思えるだけで……私は元々こんなんですよ」
「えぇことやけど……お人好しなのはなんとかせななーほいおわった。んじゃ帰るわ」
痛みも感じることもなく採血を終えるとてきぱきと帰る支度を始める姿を眺めていた。
キャラが変わったって……変えた本人が何を言うんだろう。
この人は、本当に……謎だな。