第2章 スポーツ男子とワタシ
胸からは解放されたけど
手を離そうとしないヒカリ……。
そっと、繋がる指先に力を入れてみると
ヒカリの方も、ほんの少し
ギュッと、力が込められる。
「少し、上がってもいいか……?」
「へっ!? ぁ、ぅん……大丈夫……」
ゆっくりと登る鉄製の階段。
ローファーが当たる度に
コツンコツンと
規則正しい音が響いていく。
あー、くそ
部屋に入るまでに
おさまれ、俺の"オレ"!!
一番奥の扉まで進み、
鞄の中から鍵を出すのを待ち
「どうぞ」
と言う小さな声に促され
女の子の香りの広がる部屋へと
足を踏み入れる。
うん。
ダメだね。
余計元気になっちまった──────。