第6章 遠い思い出とボク
その日の夜、
僕が帰宅するのと同じタイミングで
彼女の両親も車で帰ってきた。
「あら、蛍ちゃんお疲れ様!」
「……どうも……」
どうやら
駅まで彼女を送ってきた帰りらしい。
「あ、そうそう! ヒカリが、蛍ちゃん気付いたかな? って気にしてたわよ?」
「ぇっ……?」
──ドクン──
心臓が鐘を打つ。
「ほら、最後音駒の先生と話してる時に、あの子お疲れ様って……気付いてた?」
──ドクン、ドクン──
「あ、いえ……。話に集中していて、気付きません……でした」
僕は首の後ろを擦りながら
そう答えた。