第9章 二人のこれから
鈴音たちは双方の村を数日おきに行ったり来たりしていた
結界は一度強化すれば数日間は安定して力を保ったままでいることがわかったからだ
亀裂が消えれば、以前のように一人が毎日祠へ通うのも有りだと菊は提案したが
八千代は即答で却下していた
これから先もずっと二人で祠を回ることになったのだ
そんな中、
「まさか薫さんが…黒闇家の方と結婚とは…」
鈴音は椿の離れの窓を開け、空を眺めていた
今から少し前、鈴音が黒闇家で滞在していた時、奏月と呼ばれる男と現れた時はとても驚いたものだ
「なるほど。まさかお前が特定の…しかも結婚相手を見つけるとはな」
「変な疑いのかかる言い方をしないで下さい、八千代様。それは貴方も同じことでしょう」
八千代と奏月の会話を聞き、薫たちがそういう関係であることは理解したのだが
自分の時と同じように話が進むのがとても早い気がした
「なにぼーっとしてんだ」
八千代に後ろから抱きしめられ、我に返る
黒闇家から別件で仕事を持ったきたらしい八千代は書類とにらめっこしていた為、邪魔しないようにしようとしたのだが
逆にかまってほしくなったようだ
「すみません、ちょっと薫さんの事を考えていて」
「薫?あぁ、奏月の相手か」
二人のなれ初めは教えて貰えなかったため、二人がどのように愛を育んだか気になっていた