ヤンデレヴィクトル氏による幸せ身代わり計画【完結済】
第2章 身代わりの話
次に桜がヴィクトルと出会う事になったのは金曜日。
あの日から切れずにメッセージアプリでやり取りし、もし土曜日の夜あいてたら来て欲しいとお願いされて了承した。
ヴィクトルの家に行くに当たり、パパラッチは大丈夫なのかと心配して聞けば
「なるべくボーイッシュな格好で、伊達メガネと帽子を被ればパパラッチの連中もユウリだと思うよ」
との言葉が返ってきたので、桜は疑いながらもそれを実行して彼の家に入った。
「本当に大丈夫なの?」
「大丈夫大丈夫、記者の目は節穴だから日本人の区別なんてついてないよ」
「へー、そうなんだ」
反論するのも面倒くさいと納得して見せたように振る舞い、桜は家について早々にベッドへと連れ込まれた。
「君は今からユウリだ。俺の事はヴィーチャと呼んで」
「分かったよ、ヴィーチャ」
また身代わりの時間が始まる。
「ああユウリ、今日のスケーティングも綺麗だったね、ただジャンプだけが惜しかった。氷の上に倒れるお前を見る度に何処か痛めてないかと心配になる。最後のほうにクリーンに決めた姿は最高だったよ、愛してる。俺のユーラ」
ヴィクトルは自分は服を着たままで、桜1人を丸裸に剥くと、ちゅ、ちゅ、と首筋や背中に、唇を宛てながらユウリへの愛を囁いた。
返答に困った桜は余計な言葉を吐かないように口を結んで、ただただその話を聞き流す。
(可哀想な人、愛する人を愛せず、身代わりを抱いて心を癒す歪んだ人)
「ヴィーチャ…」
不憫に思った桜は胸元にまで降りていた男の頭をそっと慈しむように抱き、銀糸を撫でてみれば、男は感極まったように愛する人の名前を呼んで、まるで赤ん坊のように胸の先端を口に含むと、ちゅう、と音をたてて吸い付いた。
「ああ、ユーラ、ユーラ!」
「ああ、やんっ」
初めはただ吸っていただけのヴィクトルだったが、次第にちゅっ、ぢゅうと卑猥な音をたてながら、吸いたてて、もう片方は大きな掌で揉みしだいた。
前回、すぐに挿入されて、ここまで快感を拾うことはなかった。
久しぶりの快感に男の頭を縋るようにかき抱けば、彼の顔は柔らかな乳房に押し当てられた。