ヤンデレヴィクトル氏による幸せ身代わり計画【完結済】
第4章 関係が拗れる話
あのお誘いを断ってすぐ、桜に月の物が来た事でエッチのお誘いは難なく断れた。
しかし体の関係無しで遊びに誘われてしまうとその手は通じない。
生理痛で痛い、体調が優れない、用事がある。
何かと理由を探しては断っていたが、そろそろネタ切れとなっていた。
そうしてヴィクトルと桜が最後に会ってから二週間の時が過ぎた。
たった二週間、しかしここ一ヶ月はほぼ毎日のように会っていたので、桜は寂しさを感じるようになってしまっていた。
ヴィクトルからの連絡は頻繁で、毎日たくさんのメッセージや写真が送られくる。
今日も既に何通か送られてきていたが、買い物に出ていた桜が、その中のお誘いのメッセージに気づいたのは昼すぎのこと。
「もう生理終わったよね?今日は来てくれる?」
桜はこのメッセージを読み、頭を抱えた。
(どうしよう、生理終わっちゃったから避ける理由も無くなっちゃった…
会えば会うほど好きになってしまう。
これ以上優しくされて、勘違いしたくない。
面倒臭い女だと思われたくない。嫌われたくない。
まだ会えない。早くこの思いを断ち切らなきゃ…。)
桜そう考え、断りの連絡を入れた。
スマホをカバンに仕舞い、次のお店へ向かおうと足を踏み出そうとしたその時、とんとん、と肩を叩かれた。
「やっほー、サクラ、久しぶりー」
振り返った先にいたのは手をひらひらと振る大学の友達だった。
「ビックリした…誰かと思ったらヨハンじゃない、久しぶりだね、夏はダーチャで休みを過ごすって言ってなかった?」
ダーチャとはモスクワやサンクトペテルブルク等、大都市に住む人達が郊外に持っているセカンドハウスの事で、桜の友達も夏休みはダーチャで過ごすという人が殆どだった。
「うん、そうだよ、今日はピーテルで友達と会う約束をしてて、僕だけこっちに来たんだよー」
「そうなんだ、で、そのお友達は?」
それらしき人が見当たず、桜はヨハンに問えば、彼は盛大にため息をついて自らの状況を語った。