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爆乳政治!! 美少女グラビアイドル総理の瀬戸内海戦記☆西海篇

第7章 山口 最期の日


 その後、戦線は安芸・出雲磐見方面で膠着、これを機に停戦協定が結ばれたが、屋代島失陥後に畿内海軍が無差別攻撃を実行したため、東京政府内には「新兵器」を使って畿内を武力制裁せよ、との強硬論もあるという。だが…吉野首相にとっての真の脅威は、彼女のすぐ近くに迫っていた。

 首相の側近にして相棒でもある蓮池夏希…彼女の正体は、首相の親米左派路線に反発してクーデター(光復15年の九州政変)を謀り、そのために戦死した江上護智斎慶也(えがみ ごちさい よしなり)の実娘であった。首相に近侍した本当の目的は言うまでもなく、亡き父の仇を討つ事…復讐にほかならない。だが、怨敵として憎むにはあまりにも不器用で、アイドル的パフォーマンスの裏で、孤独に喘ぐ首相を前にして、果たして彼女を殺すべきなのか、あるいは共に生きる道があるのか…蓮池大尉の心中は、惰性と葛藤に揺れ動いた。

 しかし、先の戦闘で邂逅した、宇喜多軍のある傭兵の言葉が、最後の決心を促した。彼は、「ヨルダンの男」は言った。

「己の生まれ、成り立ちを忘れて生きられようものか!」

 方広院の仰る通り、言の葉には人の心を動かす力がある…良い意味でも、悪い意味でも。蓮池こと江上夏希は、「己の由来」から逃れたくない自分に気付き、後は「それを為せ」との命(めい)に従うのみである。彼女のような不穏分子を未だ抱える九州軍の中には、東京の葉山(はやま)次官と連絡を持ち、彼に帝(みかど)の勅命を偽造させて軍を動かしていた者すら居た。共産主義者、軍国主義者、そして教会過激派…様々な勢力の思惑が交差する中で、日本列島は夏を迎える事になる。

「我が名は江上、江上夏希」
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