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お菓子の魔女の言う事には。

第1章 お菓子の魔女のデュエルには。


デュエルは魔女の勝利で幕を閉じ、男たちは捨て台詞を残して店外に走り去って行った。そのデュエルに店内で拍手が起こる。

「お菓子の魔女のエキシビションマッチは如何でしたか~?今回は残念でしたが、私に勝ったお客様には賞品としてお菓子の贈呈をしております!奮ってご参加下さいね!」

魔女がアナウンスを終えると、店は徐々に穏やかな雰囲気に戻っていった。店員と魔女が話しているのが聞こえる。

「曜日違うのにゴメンね、店長が留守の日とか最悪!」
「いえいえ、後は焼くだけだったんで大丈夫ですよ~。じゃあ私キッチンに戻りますね」
「オケ、後の事は任せて」
「お願いしま~す」

成り行きを見守っていた遊作は、戻ろうとした魔女と不意に目が合う。一瞬の沈黙の後、魔女がにこやかに話しかける。

「…お待たせ致しておりますお客様、あちらに並んで頂ければお伺い致します!」
「…アンタ」
「はい、いかがなさいました?」
「さっきのデュエル、本気か?」

最後に出したモンスターの方がステータスは高かったのに、初手では敢えて低級モンスターを召喚。プレイングとドローのタイミングを見れば初手からでもそのモンスターを出せた筈だった。遊作はそこに引っ掛かりを覚えたのだった。

「そうですね。本気であって本気でないと言った所でしょうか」
「答えになってないが」
「あら、これは手厳しい。手は抜いておりません。ですが様子は見させて頂きました。…これで如何でしょう?」
「…」

はぐらかされた感はあるが、嘘を言っている様子でもない。そんな印象だったが、まだ遊作の納得いく答えにはなっていないようだ。もう少し言葉を交わそうとすると、魔女が奥から呼ばれる声がした。

「申し訳ございません、私、奥に戻らないといけないようですので…」
「…あぁ…、引き留めて、悪かったな」
「いえいえ、滅相もありません!デュエルをしっかり見て頂いてありがとうございます、マドルチェ達も本望でしょうね☆
それではお客様、店内でゆっくりお過ごし下さいませ~」

『失礼致します』と言うと、足早に魔女はその場を去ったのだった。

(お菓子の魔女のデュエルには、どこか惹かれるモノがある。)

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