• テキストサイズ

【NARUTO】人狼といっしょ。

第5章 終わり。


「行ってくるよ」
旦那様がそういう時はリンさんと二人で会うとき。
「行ってくるから、戸締まりちゃんとしてるんだよ」
旦那様がそういう時は任務のとき。
「、行ってくるよ」
旦那様がそういう時はナルトとの修行。
は決って同じ言葉をかける。
「行ってらっしゃいませ、お気をつけて下さい」
同じ声音と表情で見送りをする。
戸が閉まるのを見て、静まる玄関に踵を返す。
帰りが遅いときはリンさんと一緒の時、任務のとき。
ナルトと一緒の時は夕食にとふたりで帰ってくる。
一人の夕食にももう慣れた。
ふと、カレンダーを見て思い出す。

自分が生まれた日だと。

服を着替えて、綱手様に少しのおこづかいを貰い、街に繰り出す。
カツラをつけて、化粧をうっすらとして。
誕生日には毎年、金平糖を買って藤の公園に行くのを恒例としていた。
公園の椅子にこしかけ、見上げる鮮やかな紫にうっとりとする。
美しく圧巻な生き様。
力強く妖艶な姿に涙が出そうになる。大好きな場所で大好きなものを口にする。
日差しも心地良く、持ってきた小説を取り出し読みふける。時々金平糖を口に運び舌で転がす。
鳥のさえずりと風が花を揺らす音。
心地いい香りに包まれ至極幸せな気分になり、ちょこちょこ小説から目を離し見上げた。
青い空、紫の花。
美しい風景。
静かな公園。
微睡み、ふと人の気配に目を開ける。
遠くでくるくると周り楽しそうにする栗毛と、その後ろをゆっくり歩く銀髪。
ここを選ぶとはお目が高いと、内心高評価をしながら小説を開く。
最近読み始めたのは、胸が締め付けられるような失恋小説らしい、藤の花と書かれたタイトルに引かれ買ったのだが、思ったよりも面白く見入ってしまう。
主人公の二人は藤の下でだけ恋をするお話。
 小説は沢山の旅をさせてくれる。
沢山の恋をさせてくれる。
小説の中では私は完璧な人間の女の子になれるから。
/ 264ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp