• テキストサイズ

【夏目友人帳】また逢う日まで

第2章 壱


「夏目、寄り道するんじゃないぞ」

「分かってる。買ってくるのは四つだけだからな、先生」



夏目はニャンコ先生に頼まれ、七辻屋の饅頭を買いに出掛けていた。



――――全員分買えて良かった。

七辻屋の饅頭はすぐに売り切れになってしまう為、夏目は安堵したと同時に、滋さんと塔子さんの喜ぶ顔を思い浮かべ嬉しそうに微笑んだ。


帰宅途中、セーラー服を着た見慣れない少女が視界に入った。

辺りをキョロキョロしながら、進んだり引き返したりと奇妙な動作を繰り返している。



「どうかしましたか?」



声をかけると、彼女は驚いたのか肩がピクリと跳ね、ゆっくりこちらに振り向いた。

そして、不安そうな表情を浮かべながら話し出した。



「……あの、簪を探しているんです。
蝶の付いた銀色の簪なんですけど、普通のとは違って、桜の模様があって」

「どうしてその簪を探しているんですか?」



夏目は彼女の話を遮り問いただした。

だが、すぐに彼女を吃驚させてしまったと後悔し、すみませんと謝る。
/ 25ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp