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よるがあけるよ

第5章 見知らぬS型


『はぁ……やっと着いた。』
行きも見掛けた列車型機械生命体の骸を見て呟く。
歩いてきた1つのレールが枝分かれし、各々が複数のプラットホームの両脇に並んでいる。
真っ直ぐ歩いた先のホームの上に12Sを一旦置き、10Dもまたホームへ上がる。
ポッド達に支えられながらまた12Sを背負い直す。
改札へ続く階段を降りようとしたその時、カシャーン…カシャーン…という金属の擦れる音が微かに聞こえた。
『………!。』
聞き覚えのあるその音に10Dは何やら期待して周辺を見回す。
「10D、どうした?」
12Sが訝しげに問いかける。
『ちょっとね……。』
10Dはホームを歩きながら音の正体を探した。
足元には破壊された機械生命体の残骸がたくさん転がっている。
それを見て、10Dはこのホームが先日6E達と合間見えた場所だと気付いた。
朽ちたエレベーターの横を通り過ぎ、更に進む。
反対側の階段まで行き着くと、またカシャーン…と機械生命体の足音が聞こえてきた。
『ポッド085、何か居てもまだ撃たないでね。』
「報告:権限は12Sにあるため、現在10Dからの命令は承諾出来ない」
サメ型機械生命体の時は12Sに支援しろと言われたから従ったまで、とポッド085が拒否を示す。
「ポッド、攻撃は僕か10Dが良いと言うまでするな」
「了承した」
『ありがとう。助かる。』
10Dが耳を澄ます。音は階段の底から響いていた。
それを確認し、10Dは階段を降りていく。
階段の先には他のホームと繋がる大きめの通路があり、その通路を横切って進むと更に下りの階段がある。
どうやら上がって来た方の階段と対称になっているようだ。同様にこちらにも改札があるのが見える。
人類ってどうも左右対称が好きなんだよな、と深い理由を特に考えもせずに通路を歩いた。
機械生命体の足音は段々と近くなっている。恐らくこの通路の付近には居るはずだ。
12Sを背負ったまま少し彷徨く。
「……10D、さっきから何を気にしているんだ?」
足音からして、おそらく個体は小型短足の機械生命体だろう。腕を振り上げて飛ぶ独特な足音が特徴的だ。
小型短足のような弱い敵を、しかも姿も見てない相手をこんなに探し回っているのは何故なのかと12Sが問い掛ける。
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