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よるがあけるよ

第6章 目覚め


バンカーに戻った10Dは司令官から色々聞かれ、全てを正直に話した。
一通り報告を終えると司令官は「この問題は別の者に片付けさせるから廃墟都市の東側には一時立ち入るな」と10Dに告げた。
注意されたことと云えば、戦闘不能の仲間をわざわざ地上で修理しようと試みた判断力の低さについてだけだった。よく無事に帰って来たと労われ事情聴取は終わった。
意外な程あっさりとした対応を受け、10Dは少し腑に落ちないなと首を傾げながらその場を後にする。
そのままリフトを上ってオペレーターのブースへ入った。
「10D」
接近に気付いた14Oが席を離れて10Dに駆け寄った。
『やぁ、14O。さっきぶり。』
「10D、27Sにメンテナンスを頼んでおきました。軽度とはいえ油断はいけません。後でちゃんと部屋に行ってください」
『うん、わかった。心配してくれてありがとう。』
少し話をした後、司令室を出た。
14Oは以前より私に気に掛けていることを言葉にして伝えようとしてくれている気がする。
『最近の14Oは少し優しくて、なんだか人が変わっちゃったみたいで変な感じ。』
親密度が上がったようで嬉しい、というのに近い感情はあるけれど、印象の変化に対する多少の戸惑いがあった。
昔から素っ気ない言動が多かったことで、自分は14Oに大事に想われていないものだと10Dは決めつけていたからだ。
「報告:他者の内面が計り知れないというのは今更な疑問である。本心を隠したり、考え方が変化したりするのは不思議なことではない」
『まぁね、今地上で生きてる12Sもすっかり変わっちゃったみたいだし。』
「規則に反する程の変化は推奨されない」
雑談を交わしながら廊下を歩いていく。
自室に着くと、既に部屋の前で27Sが待機していた。
『お待たせ。メンテナンスお願いね。』
「ええ。任せてください」
3機が部屋に入ると、10Dはベッドに寝そべり27Sに体を委ねた。
「噂で聞きましたよ、なんだかイレギュラーな事があったんですってね」
『噂が早い。』
「情報収集はS型の十八番ですから。……それにしても、ブラックボックスの信号が無いにも関わらず活動が止まらないなんて、僕は初めて聞きましたよ」
メンテナンスを進めながら27Sが興味深げに言う。
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