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忘却鴉

第6章 鴉を知るもの


 はれて恋人にはなれたが関係性はあまり変わらず、ユリさんが大学に行って、バイトに行って、その間に俺が家事をやる。
 最近では俺が料理をやるようになった。

「ただいま〜」
「おかえりなさい。今日は肉じゃがですよ」
「本当!? 手洗ってくる!」

 ユリさんは俺の料理が好きと言ってくれるが、俺はユリさんの手料理の方が好きなのだが。

「黒羽丸は料理上手くなったよね」
「そうですか?」
「うん!」

 皿洗いはやると言って聞かないのでユリさんの任せて、出かける準備をする。
 夕飯の後は必ず2人で出かけると約束している。その、つまり……デートだ。

 デートと言ってもユリさんの家の周りを少し歩くだけだが、それでも俺は幸せだと思う。
 たまに道にそれて川に行ったり、繁華街まで行ったりする。

「なんか今日はカラスが多いね」
「カラス?」

 まったく鳴かないから気が付かなかった。
 なんだが俺たちを見ているような。気のせいか?

「……ユリさん帰ろう」
「黒羽丸?」

 このままだとダメな気がする。ユリさんと離れるような、そんな嫌な予感が。
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