第2章 出会い
女が振り向いてこちらを見る。
じっくり見て見ると、確かに整っちゃいるが、ミサキとはあまり似ていない事が分かった。
……そもそもあいつ黒髪じゃねぇし。
「あ……あぁ、見慣れない顔立ちだと思って………つい」
「……………」
「すまない……とても綺麗な黒髪だ」
そう言った俺に一言「どうも」とだけ返し、その場から去る黒い髪。
ハッとしてその後ろ姿を追い掛けようとする俺。
食堂から出ようと足を踏み出した瞬間、頭一つ低いものがぶつかった。
『いっ……た…』
視線を下げると、よろめいたミサキの姿。
俺はミサキが倒れぬよう、咄嗟に手を伸ばし、華奢な肩を掴んだ。
ずっと考えていた本人が目の前にいる!
「ミサキ!どうだった?」
『あ……うん。明日の適正試験に受かったら、極めて稀な例ではあるけど、一緒に訓練出来るようになるみたい。』
ミサキの言葉に胸を撫で下ろす。
はぁ───
良かった。
ぶっちゃけ、何があるか分かんなかったから、晩飯もあまり手をつけてなかった。
安心して溜息を吐いた俺の後ろから、坊主のチビが顔を覗かせる。
「あ!さっきの子だ!もしかして訓練兵!?ラッキー!俺はコニー・スプリンガー!」
笑って手を差し出すコニーに対し、少しオドオドとしたミサキ。
ミサキは遠慮気味にコニーの手を握り、ぎこちなくではあるが、フワリと笑った。
『私はミサキ サカシタ、よろしくね』