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恋歌 《気象系BL》

第5章 rival


「ん、何となく分かったけど、気にする必要はないよ」

「…でも、智さんも離れて行くんじゃ…」

櫻井が不安そうな顔をした。

「大丈夫、それはない」

「…ほんとに?」

まだ不安そうな顔で俺を見詰める。

「ほんと…櫻井が別れてくれって言っても、俺は離れないよ」

この先、好きな気持ちが募っていけば、嫌でも触れ合いが欲しくなるはず…慌てなくていい。

櫻井が俺のことを『欲しい』と思ってくれるまで、俺は待つから…

初恋の『さとくん』をずっと想い続けていたこいつを傷つけたくない…大切に大切に俺たちの関係を育てたい…

そんなことを考えていたら櫻井が俺の方に近づいてきた…

俺の横に座ると俺首に腕を巻き付け、そっと抱きついてきた。

「櫻井?どうした?」

「俺も離れません。ずっと好きだったさとくんに会えたんです。
こんな奇跡二度と起こらない…だから絶対離しません」

巻き付けた腕に力を入れ、ぎゅっと抱きついてきたから、俺も櫻井の背中に腕を回して抱きしめた。

ほらね…気持ちがあれば櫻井から求めてくるんだ…今までの相手には気持ちがなかっただけの話。

だから櫻井のペースでいいよ…俺は待つから…

でもこれくらいはいいよな?

「…翔」

そっと名前を呼ぶと、頬を紅くした櫻井が顔をあげた。

櫻井を見詰めて一瞬触れるだけのキスをした…

「俺も絶対離さないかいから…」

顔を真っ赤にした櫻井が

「今度はさとくんからしてくれた…」

はにかみながら言った…まさか…

「お前、さっき言ったキスの相手って『さとくん』?他の人としてないの?」

「…はい、だって他の人とはしたいと思わなかったから…」

マジかっ!純情過ぎるこの生き物、もはや特別天然記念物!

あんな子供のキスなんて、キスの内に入らないだろ!

はぁ~、いつになったらこいつは俺を求めてくれるんだろう…

一生キス止まりとかないよな?早くも折れそうになる俺の心…

なんて思ってたら、櫻井の顔が近づいてきて櫻井の唇が俺の唇に触れた…

さっきよりも長い時間触れ合う唇…

そっと離れて行く櫻井の顔は、真っ赤なままだけど表情は艶を放っていた…

「…ごめんなさい、またしたくなっちゃった…」

「謝る必要ないよ…翔のしたい時にすればいい…」

嬉しそうに微笑む櫻井…俺を求めてくれる日はそんな遠くもないのかも…

End
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