第2章 決断
『ふざけるんじゃないよ!!!!!!!!』
ばちんっと頬をグーで殴られる。身体を支えきれなかった私はそのまま床に倒れてしまう。頬に鈍痛が走っている。……………これは後で痣が残りそうだ、などと考えていた。
『あんた、あの男と何もしていないって馬鹿なのかい!?!?!?他に抱かれたい人はいっぱいいるんだよ!!もう会うんじゃない!!!』
『……………』
以前だったら『いいよ、』と言っていたと思う。そこまで興味はなかったし、どうでもよかったから。
『…………嫌です、誰にも渡しません、』
再びねえさんの腕があがる。
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『!?そ、その顔はどうした』
『ちょっとね……でもだいじょーぶ!』
アザだらけの私の顔を見てギョッとする。
『誰かに殴られたのか?』
『んー………まあ、そんな感じ。』
かわいそうに、と優しく頭を撫でてくれる。
不思議とこの人に撫でられると気持ちが楽になる。
今日はくんれんへいだんを卒業した、と聞いた。おめでとう、と言うと照れくさそうにありがとう、と言ってくる。
『あの………どうしていつも私を………?』
私がそう問いかけると彼は私のアザの理由を察した様だった。
『そうだな…………前にも言ったが、君と話するのが好きなんだ。質問されたら答えて、また質問されたら答える。君は聞き上手だからとても心地よかった。それって性欲を満たすよりもとても心が落ち着くことなんだよ』
はじめてだった、
聞き上手なんて言われたことがなかった。
すごく嬉しかった。