第11章 国木田独歩/楽しいハロウィン
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今日は楽しいハロウィン♪
この日の為に、前々から準備を進めていた。
衣装を買ったり、小物作ったり…
それはそれで楽しかったんだけどね。
いつもあんまり褒めてくれない彼に
今日こそは「可愛い」って言って貰うんだ!!
負けないぞ私は!!
ピンポーン♪
と呼び鈴を鳴らし、彼が出てくるのを待った。
ガチャリと扉が開くのを確認して、私はとびっきりの笑顔を作る。
「国木田センパイ♡ とりっくおあとりーと☆彡」
何故かしばらく沈黙が続いた。
…ねぇ辛い。
「…センパイ、聞いてました?」
「…ああ。一体何の心算だ?」
「えっ!? センパイ…ハロウィン知らないんですか!?」
「あのな。いい歳して…取り敢えず入れ」
ぐいっと腕を引かれてお部屋の中に通される。
相変わらず小綺麗なお部屋で、まるでモデルルームみたい。
「座れ」
「はい…」
「いいか、ハロウィンというのは元来秋の収穫を祝う行事で悪霊を追い出す宗教的な意味を持つんだ。お前自身が悪魔になって如何する」
「はい…ごめんなさい…」
「全く昨今の連中ときたらこれだ。何がコスプレだ。古代ケルト人が発祥した祭りを……」
失敗した…。
そうだった。彼はそうでした。こういう性格でした。
知ってたけど!!
まさかここまでとは!!
「聖子…?」
「うぅ…着替えて来ます…」
「…。菓子なら無い。想像はついていただろう? 悪戯とは一体何をする心算だったんだ?」
「ふぇ…? 何…って言われたら…。うーん…。考えて無かったかも…あはは…」
「全くお前と云う奴は」
深ーい溜息を付かれたと思ったら、眼鏡を置いて
私をソファに押し倒す。
「えっ…!? え、ちょ、センパイ!?///」
「…見たところお前も菓子を持っていないようだ。なら、悪戯されても文句は言えんだろう?」
「えぇ!? 待ってお菓子ならあるよ!? 持って来てるもんあのカボチャバッグの中に!!」
「見えんな」
「眼鏡置くからでしょ!!」
「煩い」
唇を塞がれて言葉が遮られて。
「嫌…ではないのだろう?」
そんな風に意地悪な顔して云う国木田センパイ。
どっちが悪魔かわかったもんじゃないなって私は思ったのでした。