• テキストサイズ

文スト夢倉庫

第2章 太宰治/やる気の出し方



チャイムが鳴って、先生がやって来た。
そして点呼をする前に教室を見渡して発した一言に私は肩を震わせた。


「おい、太宰はどこ行った?」



太宰くんは毎朝登校して来るのに
気が付けばいなくなっている事が多いのです。

その捜索に行くのはだいたい中原くんなんだけど、
中原くんが居ない時は学級委員長である私が行く羽目になるのです。

今日もまた、その捜索の任を仰せつかり、今に至るところ。



太宰は屋上に居ることが多いっていう中原くんの言葉を思い出し、そこへ向かってみる事にした。




そういえば中原くんがお休みの理由って、昨日のアレだよね…。
太宰くんを探しに行って、戻って来たら何故かずぶ濡れになってて…
風邪の原因って絶対それしかないよね。
でもなんであんなに濡れてたんだろ…?
昨日は雨降って無かったのになぁ…


「謎だわ…とてつもない難事件だ…」
「何が?」
「ひゃあっ!??」


急に頭上から探し人の声がして驚きのあまりに変な声が出た…恥ずかしい…
って、そんなこと今はどーでもよくて。

「太宰くん!!」
「やぁ委員長、いい天気だね♪」

咎める口調で呼んだはずなのに、当の本人は笑顔で手をひらひら振りながらそんな呑気な事を言う訳で。
怒る気がどんどん削がれていく。


「もー、授業始まってるよ!? 早く戻らないと!!」
「えー。今日は中也も休みだし、やる気が出ないのだよねぇー」


…やる気、あったんだ…
っていうか、休みの原因作ったの太宰くんだよね…

ダメです。突っ込み処が多過ぎて対処しきれません。
なんて考えてたら
「あ、そうだ!」
って楽しそうな声が聞こえてきて


「委員長がやる気を出させてよ、そうしたら、授業に戻ってもいいよ?」



それは悪魔の囁きだと
この時は思わなかったのです。


/ 102ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp