第3章 ほんとの君は…?
花side
「もう材料用意しとるから…
そこら辺座って待っといてええよ(笑)?」
バイト終わり
今度は遅れることなく
私を迎えに来てくれた村上さんと
村上さんの家に来たものの…
やっぱりこの家は…
私が住む家と違いすぎて
無駄にどこか落ち着かない(笑)
大きなテレビや…
大きなソファー…
キレイなキッチン…
窓から見えるキレイな景色…
どんな仕事をしていたら
こんな家に住めるんだろう…(笑)?
そんなことを考えながら
これまた無駄に広いベランダに出て
明るくキラキラ光る夜景を
ぼんやりと見つめていると…
「出来たで…(笑)?」
そんな声が後ろから聞こえて
振り返った私の手を握り
村上さんはグツグツと音を出す鍋の前に
私を座らせる…
今だかつて食べたことがないサイズの
カニがはみ出る鍋を目の前にして
驚いて固まる私の手に
「花と食おうと思って
お取り寄せしたんや…(笑)
うまそうやろ?」
なんてこれまたカニがはみ出る
小皿を手渡してくれる…
不器用に殻を向きながら
食べたことがないサイズのカニを
口に運んでみるけれど…
私とこの人は
住む世界が違うんじゃないか…?
そんな疑問がどうしても頭に浮かんできて
美味しそうに湯気を出すカニの味さえ
よくわからなくなる…(涙)
「どうや…うまいか…(笑)?」
そう言って私にくりくりのキレイな目で
笑いかけてくれる村上さんに
「あの……むら……」
"村上さんの仕事は何ですか…?"
そう思いきって聞こうとした瞬間
そんな私の言葉を遮るように
部屋の中にインターホンの音が鳴り響いて
言葉は村上さんに届く前に
撃沈させられる……(涙)
聞きたかったことが聞けず
どんよりと下を向く私の耳に
「こんな時間に誰や……?」
そう言って少し不機嫌に
食べかけのカニを置き玄関に歩いていった
村上さんの
「帰れ…!!!」
そんな驚きの怒鳴り声が聞こえてきた(汗)