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2人の距離〜和さん目線〜

第6章 2人の距離 6





「由梨最近積極的だよね。…足りない?」
ニヤッと笑って言うと図星なのか固まって何も言わない




「…私は全部和さんに答えてあげられるかわからないです」
顔を見せないようにそう言う由梨


「それでも、もっとしてほしいって思ってしまいます」


あー。ほんとに。

生殺しってやつが本当にあんだよな。


でもこれは由梨の本心だって分かっていた
そしてそれを言ってくれたことが嬉しくてフフッと笑った


「う〜ん。そうだな。…でもそれってもう充分答えになってるけど」
へ?と声を出す由梨の唇にチュッとリップ音を鳴らしてキスした

「その気持ちだけでも俺は満たされてるけどね?…それと、ちゃんと分かってるつもりだから。由梨のペースに合わせたいんだ。」
頭をそっと撫でその手を由梨のお腹に手を移動させ軽く触れた。

「此処に命があったんだよ?…簡単じゃないだろ?気持ちが追いつかないのは。」
そして今度は背中を優しく摩る。
そこには無数の傷跡が薄っすらあって。
はだけた時とか、キャミソールで寝たりする由梨の背中を良く見る俺には誰に傷つけられたものか分かっていた。

そしてその彼との思い出は嫌なことだけじゃなかったはず。


「由梨の中に前の彼が残ってるのはしょうがないよ。…俺はそんなことで傷つかないよ。」
いつも俺の気持ちを気にしてくれる由梨にそう言うと泣き出した。
近くにあったティッシュを何枚か取り出し由梨に手渡しニッコリ微笑んだ。


別に前の彼を忘れられなくたって構わない。

代わりになるつもりもないし。
まあ、離してやらないことには変わりはないんだけど。



それからまたいつも通りに、いや寧ろキスもハグも増えたかもしれない。
俺から求めると由梨は凄く幸せそうな顔になって。
それが堪んなく優越感だった。






ある日社長が楽屋に来た。

社長は遊びに来たのか気分転換なのか書類に目を通したりケータリングのお菓子をつまんだり。
そして俺らとどうでも良い様な話をしていると突然ぶっ込んだ話をしてくる。
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