第5章 崩壊
Mside
キョトン、とした顔で不思議そうに
首をかしげる和。
「いや…うん、何でもないよ。」
「…?そう??
何かあるんだったら言ってね?」
心配そうに俺の手をキュッと握ってくれる。
…そうだよな。
「…考えすぎ、か。」
「え?なんて??」
「いや、やっぱり和は優しいなって笑」
「そりゃ、一応カレシ…ですから…///」
自分で言っといて、照れてこっちを見ない和は本当に可愛くて、たまらなく愛おしい。
細いのに柔らかなその体を抱きしめながら、罪悪感が湧いた。
『2人、事故の日一緒だったのかなって…
ニノも智くんも連絡つかなくて、次の日の朝、2人して駆け込んできたんだけど…その後からなんかぎこちない気がしてさ。
まさかとは思うけど、何か揉めたりとか…大丈夫かな?』
何も知らない翔くんは単に心配だったんだろう。
和の気持ちも、大野さんの気持ちも知ってる俺としては、もしかして2人がくっついたんじゃないかって…
それも、朝一緒に、なんて。
…でも今目の前で、黙って俺の背中に手を回す真っ赤な和がウソだなんて思えなかった。
一生懸命大野さんを忘れようと、俺を愛そうとしてくれてる和に失礼だよな…
唇と唇が触れる寸前。
「和…好きだよ。」
そう囁くと、和はふるりと震えた。