第2章 会いに行くから、お姉ちゃん。
「うぅ〜〜〜…瑠樺〜〜〜〜っ!!やっぱり持つべきものは優秀な部下だ〜〜〜〜っ!!!」
思わず私は瑠樺に抱きつく。自分で言うのもあれだけど、トンデモな上司を2人背負っている瑠樺のフォロー力には毎度頭が上がらないのだ。
「きゅ…っ急に抱きつかないでください!!この借りは高くつきますよ!!…妹さんに会いに行ったら、私の食べ歩きコース奢ってくださいね。あと医療費自費で払ってくださいね。団の経費で落としたら殺しますよ。」
「げっ…。………ワカリマシタ…。」
鋭い睨みを効かせられ思わず目をそらす。これではどちらが上司かわかったもんじゃないな…。
というか、瑠樺は神楽や神威に匹敵する大食らい…。趣味といえばゲームくらいしかないの引きこもり副船長とはいえ、私の財布は持つだろうか…。
「そういえば、船長から伝言が。」
あ、と不意に思い出したように瑠樺は部屋のドアに伸ばしかけていた手を止めた。
「明後日は1日開けるように伝えてくれとのことですよ。急ですが仕事が入ったようですので。」
「ず…随分急だな…。そういうのって到着する前に前もって分かるもんじゃないの普通…。」
「"急に決まったお仕事でね!内容は来てからのお楽しみだよ〜〜っ!"と…。今日の午前に決まったお話らしく。船長の無茶は今に始まったことじゃないですから。明後日夕刻に江戸の武装警察"真選組"屯所まで来てくださいとの事です。」
……真選組…?なんでそんなところに船長が仕事で……。
というか私大迷惑かけてるよね?あれ、何食わぬ顔で仕事面で運んでくれた人達のところ行くのめちゃくちゃに気まずいんだけど…。船長の無茶っていうかそれただの無茶振りだけどね?
「……ついでに菓子折でも包んで腹括って行ってくださいね。その後奢るの忘れないでくださいね〜。」
瑠樺には全部バレている。洗いざらい話したおかげでちゃんとしっかり察されている。
そのままヒラヒラと手を振りながら横目でこちらに目配せをし、部屋を出ていってしまった。
これで4日目も予定ができてしまった。あぁ〜…私の神楽との時間が…。って2日は私がダメにしたのか。
ともかく、今日のところは病み上がりの中走ったため、疲れてしまった。明日神楽には会うとして、今日のところはゆっくり船で休むことにしよう…。