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ヒカリに焦がれて 【R18】

第2章 プロローグ






「私と共に来るか?」









そう声をかけてくれたあの御方は
その時の私にとっては
とても温かく心地よいもので、
こんなに暗くて、汚くて惨めな私に
「ヒカリ」を与えてくれた。

だけど…今思えばあの瞬間から
私が歩む道が決まってたのかもしれない。












「お前は【主(あるじ)様】の為に生き、
主様に仕え、手となり足となり、
その身を捧げるのだ」









そう言い聞かせられながら
拒絶する事も、逃げる事も許されず、
次々に教え込まれる事を
毎日毎日ただひたすらに
全身に叩き込んだ。





そうして気が付けば
もともと汚れていた身も心も
紅く、紅く染まっていた。












「お館様はどこだ⁉︎
外へお連れしなければ‼︎」


「誰か‼︎早く水を‼︎」

「もう遅い‼︎皆外へ逃げるんだ‼︎」

「レティ様のお姿も見えないわ‼︎」










どんどん大きくなる橙色は
ゴウゴウと音を立てて
【主様】の館を飲み込んでいき、
炭となったものが
次から次へと崩れ落ちる。





本当に突然だった。





これからどうしよう…とか
そんな事も考えずに
一粒、また一粒と眼から溢れる雫を
拭うこともせず茫然と立ち尽くす。

暫くすると橙色は消え、焦げ臭さと
炭と化したものだけがそこに残っていた。








手元に残ったのは
【主様】との「オモイデ」と呼ばれるキヲクと
暗殺能力。
そして【主様】がくれた能力を活かすための
私の「相棒」。









もう今さら後戻りなんて出来ない。
影と共に生きてきた。
そのまま歩むしかない。

僅かに震える身体を叱咤し、
彼女はその場を去った。
捨てきれない「ヒカリ」への憧れを
内に秘めて…。





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