涙ノ意味 ー The Prince Of Tennis ー
第2章 逢
[ 仁王side ]
一層強い風が吹いて、満開の桜の花びらを舞いあげた 。
その中に立って空を見つめる彼女が 儚くて 。
『 っ…! 』
彼女がこっちを見て驚いた顔をした 。
俺には気付いとらんかったんじゃな 。
彼女の行動一つ一つから目が離せんくて ーー
「 お前は … 誰ぜよ? 」
ーー 思わず聞いてしまった 。
少しの沈黙が流れ 、
『 ふっ … 』
ふっ?
『 なに、ぜよって…! おかしすぎっ… !』
いきなり笑い出した彼女 。
「 な、何がおかしいんじゃ…! 」
『 じゃっ…!? それ、口癖 ? 』
あぁ、この口調か 。
「 そうじゃよ 。 」
『 はー、笑った笑った。 いきなり笑い出してごめんね 。 』
まだ可笑しそうに肩を揺らす彼女 。
「 別にええけど 。 で、お前の名前は ? 」
どうしても、知っておきたかった。 でもーー
『 名前は … 秘密 。 』
「 秘密? 」
『 君には必要がない名前だよ 。 じゃあね、“ 仁王くん ”。 』
ーー 必要がない名前って 、どういうことじゃ … 。
「 なんで俺の名前 … 。 」
『 秘密 。 』
彼女はもう、さっきまでの笑顔はなくて、苦しそうな微笑みを残して ー 俺に秘密を残して ー 屋上から去っていった 。
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俺とは比べ物にならんくらい細くて壊れそうな“ 彼女 ”そんな彼女をみて、これがきっと “ 運命 ” だと思った 。