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サクラ色のコイゴコロ

第19章 止まったままの心-翔side-


「言い訳になるかもしれないし、
これで復縁なんて考えてないってことは
分かっててほしいんだけど…」

『うん』


ちゃんの頷きで、また口を開く



「仁美はね、俺の初恋の人なんだ」

『……そう、なんだ』

「うん。そう
でもさ、振り向いてなんてくれなくて
学校でもモテて、いつも違う男がいて
俺、諦めたの。っつーか幻滅したんだよ
初恋の相手が男と遊んでんだもん…

でもね、卒業して会わなくなって
1年くらいのときかな……自殺未遂したんだ」


『仁美……さんが?』


「うん、そう。手首切ってね?
幸いお母さんがお風呂場で倒れてるのを
すぐ見つけて未遂で済んだんだけど……
その数時間前かな?
電話があったんだ。"死ぬ"って」


『翔くんに?』


「でもさ、そんなことないって思ってね
無視して仕事続けてたの。
そしたらさ……本当に死のうとすんだもん」




だから、あのときも……

ちゃんと会おうとしたときも、
"死んじゃう"って言われて行けなかった
なんて言い訳か……




「ごめんね……俺さ、ヘタれだから…
君のこと守ることできなかった。」

『翔くん……』

「ただ……っ……あ"~……ごめん」


いつのまにか目頭が熱くなって、
涙が溢れてちゃんを抱きしめてた



「……っ……心が…っ…苦しいんだ……
会えなくて…………辛くて…苦しいんだ」


こんな女々しい俺をどう思うだろう?
優しい彼女は微笑んでくれるかな?

なんて胸の中にいるちゃんに
尋ねるように心のなかで呟いた。




『翔くんは本当に優しいね』

「え?」


そんな意外な言葉に思わず彼女の顔を見る


『翔くんは優しすぎるよ…優しすぎる
あなたはヘタれだけど、それは優しいから』

「…………っ…」

『翔くん、待ってるから』

「待ってるって……?」

『きっと運命が続くなら、
また運命で結ばれるから、絶対に』

「…………それって……え?」

『…………行くね?』



そう言ってちゃんは、
微笑んで俺から離れて部屋を出ていった。



















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