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月より出でしは輝く夜の姫

第1章 序章~苦しいだけの恋ならば~


いや、私の質問はこの弾がなんなの?ってことなんだけど……。

「そこでだ。9代目は近い将来10代目を継承するツナの為に、最強のファミリーを作り上げるべく人材の強化を図ってんだ」
「今でも十分、最強だと思うけど……」

一応の候補としてヒバリ君、了平さん……獄寺に山本……そんで私。
確かに少ないといえば少ない、か。

「お前に指令を与える。葉月、ツナの為にマフィアになれる強い奴を捜して来い」
「は?」
「これはその為の特殊弾だ。まだ試作段階だけどな。トリップ弾って言って、これをぶち込まれたヤツは強制的に異世界へトリップする」
「は??はぁああ!!??」

異世界?トリップ……?何を言ってるんでしょう、この赤ん坊は。
私の脳内で色々な疑問が交差している最中、リボーンは自分の愛用銃に弾を込めている。

「ちょ、ちょっと待って!!トリップってどこにいくのっ!?」
「さぁな。試作段階だから、よくわかんねーんだ」
「いやいや、待って待って!!私、実験体っ!?」
「平たく言えばそうだな。お前最近、色々悩みすぎてんだろ、だからちょっとした息抜きだと思っていって来い」

いって来いじゃなーいっ!!息抜きって指令はどうした、指令は!
リボーンは口の端を持ち上げて、嫌な笑みを浮かべている。
私は背筋が凍って、真っ黒な銃口がこちらに向くのを引きつった笑みで見つめていた。

「今回は下調べだ。そんな人材がいたら、必ずチェックしとけよ」
「ま、待って!リボーン!私まだ、行くなんて……!!」
「ちゃおちゃお」

そんな愛らしい台詞を吐いた瞬間、リボーンは何の躊躇いもなく引き金を引いた。
私の額にはトリップ弾が命中し、私の意識は真っ黒な闇の中へ誘われていく。
遠くなる意識の中で、リボーンが呟いた言葉だけが耳に残る。

『効力は一週間だ。……それまで、生きてろよ』

なんじゃそりゃああああああああ!!
私は心の底で力の限り叫んだけれど、そんな叫びが彼に届くはずもなく。
私は……そのまま何かに吸引されるような感覚に飲み込まれていった。

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