第15章 さくらんぼ
にやける顔を誤魔化しながらマンションのエレベーターに乗る。部屋のある階に向かう時間も玄関の鍵を開ける時間ももどかしい。
ガチャガチャと慌てて鍵を開けて玄関に入ると愛しい恋人が待っていた。
S 「かずくん、お帰りなさい」
真っ赤なカフェエプロンをして微笑む翔ちゃんは、いつもの何倍も可愛い。
「ただいま。今日は早かったんだね?」
うんって大きく頷くと俺の腕をグイグイ引っ張って部屋に入る翔ちゃん。
ダイニングテーブルの前まで来ると
S 「見て!これ俺が作ったの!」
そこには三角のような丸のような、ちょっぴり歪なおにぎりがお皿に4つ並べられていた。
S 「かずくんお腹空いてる?これ何入ってると思う?」
目をキラキラ輝かせて俺を見つめる翔ちゃん。
「梅かなぁ、鮭かなぁ。食べていいの?」
パクっと一口頬張る。ん?カレー?旨いなこれ。
翔ちゃんは走って冷凍庫から何かを取り出すと
ジャーンって目の前に差し出す。
S 「今日ね、このCMの撮影だったの♪いっぱいおにぎり作って子供たちが食べてくれたんだ♪これからはかずくんにいっぱいおにぎり作ってあげるからね!」
得意気な翔ちゃんが可愛くてたまらない。