第3章 ~ひらり、ひらりと久遠の破片~
【fortieth.】
※オリキャラ有
「やあ、三成。お前に紹介したい奴がいるんだ」
私は庭で居合の稽古をしていると、家康が訪ねて来た。
珍しく顔を見せに来たと思っていると少し遅れて見知らぬ人物がやって来る。
「新しくワシに着いて来てくれる事になった#NAME4だ」
家康が連れて来た人物の名は祈織と名乗った。
家康が腕の立つ奴と誇らしげに言うが、私としてはそうは思わない。
見た目は細く、一瞬見ただけでは男か女か分からない程に中性的。
何処が腕の立つ奴だか私には判断し難い。
「所で、名前姫殿は居ないのか?」
ワシとしては祈織を姫にも紹介したいのだが、と家康は辺りを見渡しながら言う。
私としては誰にも会わせたくないのだが。
そう思っていると祈織とやらが妖しい笑で家康に話しかける。
「ふふっ。近々、竹中様がお戻りになられる。その時で良いでしょう」
楽しみは取っておかなくては、で御座いましょうとそいつは家康に向かって言う。
それに対して家康はあぁ、そうだなと応え、軽く言葉を交わし二人は去って行った。
あの祈織と言う者、只者ではない。
無意識に強く握っていた掌を開いてみると今も小刻みに震えているのが分かる。
そう、奴が家康に話し掛けた時だ。
一瞬私の方を見やった時、背筋が凍る程の鋭い視線が私を貫いた。
私は二人が去った方を見つめ奴は何者なのだろうか、と思う。
そして、恐ろしく冷たい視線にも関わらず、纏う雰囲気は…。
「名前…」
そして、家康…。
何だ、この胸糞の悪い…悪い予感がしてならない。
このまま、何も無ければ良いのだが…。
私はもう一度震える手を力強く握り締め、私の心の中とは真逆の雲一つない空を見上げた。