第3章 ~ひらり、ひらりと久遠の破片~
襖の隙間から射し込む朝日がわたしの睡眠を妨げる。
目を手で覆い変な夢を見たな、とぼんやり考える。
辺り一面が白の世界。
その空間をふわり、ふわりと浮かびながらゆっくりと落ちて行く。
そして…。
…あれ?
落ちて行って、どうしたんだっけ…。
「忘れて、しまった…」
何故、夢は直ぐに忘れてしまうのだろう。
「何が忘れてしまったのかい?」
そしてわたしはもう一つ重要な事を忘れていて、気付くのはこの後の事。
「あぁ、夢を…って」
重治さん?
何で重治さんが此処に…。
って、何故、隣に…
あれ?
此処はわたしの、部屋…ではない?
ん?
隣…?
「し、重治さん…?」
わたしは100%彼なのに、名前を呼び確かめる。
すると重治さん本人は笑顔でこう仰った。
「昨夜はずっと一緒に過ごしたと言うのに…」
忘れるなんて酷いね、と極上の微笑みをありがとう、重治さん…。
「また、思い出させてあげようか…」
身体で…。
「け、結構ですっッ!!」
この後すぐ夜着を着付け、自室へと猛ダッシュで帰ったのは言うまでもない。