第3章 ~ひらり、ひらりと久遠の破片~
【first.】
雨は強くなる。
「しかし、三成君も、家康君も遅い」
彼らは何をやっているのか。
家康君が探しに行ってから随分と時間が経つ。
僕にとって時間はかなり貴重だ。
一秒たりとも、無駄には出来ないと言うのに。
僕は筆をゆっくりと硯に降ろし、ふと外を眺めた。
長かった…。
そして、今日…。
「やっと…」
そう思いふけていると外が騒がしくなる。
この音は…
家康君と忠勝君だ。
僕は執務を中断し、自室の前の廊下へと出る。
「家康君、キミは…」
もう少し静かに、と言葉を繋げようとし、彼を見ると、その異様な出で立ちに驚く。
「半兵衛殿!説明は後だ!」
家康君は彼女をと言い、ゆっくりと僕に預けた。
家康君が抱き抱えていた人物の姿。