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【黒執事】壊れた貴女を看取るまで

第6章 なか


アイリーンは窓辺にもたれながらぼーっと庭を見つめていた。
柔らかな光が心地よい。
セカンドフラッシュのウバを片手に本を読み、今日はゆっくりとしていられる。

ーそれにしても…

この胸の高鳴りのようなものはなんなのか。
セバスチャンを見ると心が弾む。キスをすればもっと鼓動が跳ねる。
でもそんなキスも抱きしめてくれるのもセバスチャンにとっては暇つぶしの中での行為に過ぎないのだろう。
別にそれが普通だと以前までは思えたのに今はそうは思えなくなっている。
アイリーンは本を置いて、机の上に置いてある黒電話を取る。
リングに指をいれてゆっくりと番号を回していく。

『はぁ〜い、どうも仕立て屋のシェリーよ』

「アイリーンよ。久しぶりね」

『アイリーン!ほんと久しぶりだわ!どうしたの?』

明るい弾む声がアイリーンの耳を傾けさせる。シェリー・ジェーンはイギリスの中でも割と有名なほうの仕立て屋だ。彼女の作る新しい堅苦しさに囚われないドレスはイギリスの淑女の心を掴んできた。
シェリーは電話機のコードを指に絡めてクルクルする。

「あのね、最近、セバスチャンを見たら胸が苦しくなるの。キスをしたらすごく幸せな気分になって、今もセバスチャンのことを考えてしまうの。どうしたらいいのかしら」

『それは…恋よ』

シェリーが興奮気味に答える。

「恋?」

ウバを一口飲む。すっきりとした味が口に広がった。
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