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イケメン戦国★センチメンタルLOVE

第16章 織物のように(三成)


「すっかり暗くなっちゃったね…。
三成くん、今日は付き合ってくれてありがとう。
反物も持たせちゃってごめんね」


荷物を持っていない方の手をしっかりと握ってくれる三成に礼を言う。


『いいえ、こちらこそ。今日は思いがけず素晴らしいもの見られました。
愛さまと出会っていなかったら、知る事がなかったものです。
世の中には、私の知らないものがまだまだ沢山ありますね』


(三成くんも楽しんでくれたなら良かったな)


そんな気持ちを繋いだ手に込める。



「それにしても、本当に素晴らしい職人技術だったなぁ…。
複雑に縦糸と横糸を絡ませて…全部設計図なしで頭の中で作り上げてるんだもんね。
少しでも間違ったら、後で気づいても取り返しがつかないのに…」


愛はため息交じりで、今日見た機織の様子に想いを馳せていた。


『私たちも…』


ふいに三成の真剣な声がして、顔を見上げる。


「どうしたの?」


愛の声に足を止めると、三成は愛を真っ直ぐに見るように向き直った。



『私たちも、この頂いた織物のようになりましょうね』


透き通った目で真っ直ぐに射抜かれて、
息をするのも忘れそうな程だ。


「織物の…?」


ふっと三成は緊張を解き笑顔を見せると、片手で愛を引き寄せる。
ふいにその腕の中に閉じ込められた愛は、まだ何が起こったかわからない。



「三成くん?」


『この織物のように、丁寧に縦糸と横糸を絡ませて、
そして、素敵な反物のような未来を作っていきましょう』


あぁ…何てこの人は純粋で…温かい…。


漸く意味のわかった愛は、自分を閉じ込める温もりに愛しさが溢れでる。


「うん。でも、私たちは時に間違えるかもしれない…」



『え?』



「でも大丈夫。その度に、丁寧に解いて、また織り直せばいいんだから」



『はい。そうですね。
そうやって、ゆっくり時間をかけて、私たちだけの反物を…
誰にも真似できないものを、織り上げて行きましょう』





織物のように 終
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