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イケメン戦国★センチメンタルLOVE

第6章 恋の試練場 後編


皆、どこかで幸せな三成に嫉妬させたいと思っていたかもしれない。

『愛どうだ?少しは楽になったか?』
秀吉が愛の側に座り、いつものように髪を撫でる。
愛を甘やかしながらも、三成の恋が成就した事を思っていた。

(先を越されちまったな…)

「久しぶりに起きたからかちょっと疲れちゃった…かな」
先程までのこともあり、皆の顔をどう見ればいいのかわからず、
愛は顔の半分まで布団をかけて言う。

『愛、明日は何食べたい?何でも言ってみろ』
政宗も秀吉の隣に座る。

「な、なんでも…政宗のごはんは何でも美味しいから…」

『おい、何でもはないだろ?』
そう言うと、布団の中に手を差し込み、愛の顎を持ち自分に向けさせた。
どちらかと言うと、愛より三成を意識していた。

(あいつ、嫉妬するんだろうな)

『俺はこの可愛い唇を食べてやってもいいんだぞ』
冗談とも本気とも取れない政宗の表情に、無理やり布団を掴み頭まで被る。
チラッと三成を見やれば、いつものニコニコした笑顔を崩していない。

『政宗さん、あんまり揶揄うと、また愛が体調崩しますよ。
ほんと、弱いんだから。さ、寝る前に薬飲んで。あんたたちはそこどいて下さい』

秀吉と政宗を無理やりどけると、家康がそっと愛の背中に手を差し込み
抱えるように起こす。すると、三人が入ってきてから一言も発していない三成が目に入った。

そこには、周りにチヤホヤされる愛を、
満面の天使の笑顔で見守る三成がいた。


その様子に家康は不機嫌そうに
『何でそんなに嬉しそうなわけ?』
と、訊く。

「愛様が、皆さんに愛されるお人だという事を改めて確認し、
その中でも私を選んで下さったなんて、こんなに嬉しいことはないですから!」

屈託のない、傍目には純粋無垢な気持ちに見える。
しかしそれは、それとなく自分の物だと言う、三成の作戦。

(…っ!うまく牽制してきやがった…)

皆が心の中でそう思う頃、愛だけが三成を見て
真っ赤に顔を赧らめる。

(俺の腕の中で、三成のこと考えるなんて…ほんとムカつく!)

家康は嫉妬させようとした行動が逆に嫉妬させられる結果に
笑顔の三成を苦々しく見つめるしかなかった。
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