第5章 シュレディンガーの猫
「一人で死ぬ、なんて悲しい事を考えられないようにしたいの。楽しい事を沢山知って、ここに居たい、皆とずっと笑ってたいって思うようになって欲しいんだぁ。」
俺の背中に寄り掛かるように座ったあいつがそう言う。
「皆も私も、大倶利伽羅が大好きなんだからね?絶対一人になんてさせない。隠れても無駄なんだからね!」
胸が暖かくなる、とはどんな気持ちなんだろうか?よく解らないが、悪くはない。
「…ふんっ、好きにしろ。だからと言って、俺に言うことを聞かせられると思うなよ。」
背中でまたころころと笑う声がする。