第2章 長い夜/沖田
「……」
「…何怒ってんだ」
「だってこのまま出られなかったら困るじゃないですか!」
「俺ァお前と二人きりになれてラッキーだけど」
「へ?な、なにいって…」
近づいてくる彼に戸惑って、思わず後ずさりすれば。椅子に足を引っ掛けて後ろに倒れ…
「っ、あぶねぇ」
腕を引かれたと思った時にはもう彼の胸の中にいた。
「あ、えっ…と…ありがとう、ございます」
「………」
「もう大丈夫ですよ、?」
それでもぎゅうっと強まる力に戸惑っていると「わりィ」と離された。
「………」
「………」
気まずい。
なんで。
なんでよりによってこの人と。
二人きりになっちゃったんだ。