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【ハイキュー】ウシワカイモウト第三部

第12章 ・保健室での話


白鳥沢学園高校の廊下でドッドッドッドという重たい足音が響いている。
廊下を行きかう生徒達は足音がする方に目をやり、足音の主がわかった瞬間に高速で左右に避けて道を開ける。

身長190cm近いそれもしっかり鍛えられた筋肉の巨体、男子バレーボール部主将牛島若利その人がキリッと口を引き結んだ表情で廊下を突き進んでいた。
更に後ろからはバタバタと慌てた足音、瀬見英太と五色工が若利を追っている。

「ちょ、若利待てってのっ。」

瀬見が叫ぶも若利は聞いていない。

「言わない方が良かったんでしょうかっ。」

呟く五色に瀬見はいや、と返した。

「どうせ他で聞きつけて同じことになったと思う。」

そんなチームメイトのやりとりなぞ完全に気にせず若利は更に歩を進めるのであった。


瀬見と五色を振り切る勢いで若利はとある部屋の前で足を止め、まずは引き戸をコンコンと叩いた。
部屋の中からは特に返事がない。ほんの少し待ってみるも状況は変わらないので若利はそのまま引き戸をガラッと勢いよく開けた。

部屋にいくつか設置されたベッドのうち1台の上で小さな姿がもぞもぞ動いている。ここは保健室だった。
養護教諭は席を外しているらしく声のかけようがない、それに他にここを利用している生徒もいない事を把握した若利はすぐにそのもぞもぞ動いているのがいるベッドへ近づく。

「文緒。」

もぞもぞ動くものに声をかけるとそれはわわっと飛び起きた。

「え、若利兄様。それに瀬見さんと五色君も。」

義妹の文緒は驚いた様子で義兄とその仲間を見つめるのだった。


「授業中に倒れたと聞いた。」

飛び起きた義妹をもう一度横にしてやりながら若利は言った。
そう、彼が動揺する周囲を物ともせずここまできたのは文緒のクラスメイトである五色からその話を聞いたからである。

「大した事はありません。」

流そうとする文緒を若利はじろりと見た。この義妹が時折自分の事に頓着しないような発言をする癖だけはどうにも容認できない。
義妹も雰囲気で気がついたのか一瞬視線を自分の膝のあたりに落としすぐまた若利に戻す。
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