第11章 ・仮想狩場の豹変少女　その2

「ああ見えて闘争心が強いところがある。」
「いや若利そういう問題じゃないと思うぞ。」
「やべ文緒の奴モンスターに突撃してるっ。」
「死にに行くつもりですかね。」
「てかおい文緒暴れんなパーティープレイで斧モードのぶん回しはやめろおおおおおお。」
「うわああああっ。」
「あ、工がふっ飛ばされてる。」
「ちょっと文緒ちゃんっ。」
「天童さんもふっ飛ばされてるな。」
「嫁落ち着けっ。」
「今のは何が起きた。」
「文緒さんが斧を振り回して味方巻き込んだので山形さんが槌でふっ飛ばして止めました。」
「地雷プレイヤーにも程がある。」

白布が引きつった顔でチッと舌打ちしている間にも山形に一旦ふっ飛ばされた文緒は少しおとなしくなる。

「すみません、つい熱くなっちゃって。」
「もー普段どんなプレイしてるのサー。」
「何と言いますか、いつも敵に来られると早く排除したいという衝動に駆られちゃって。」
「牛島さん、さっきからお嫁さんの発言がいちいち怖いんですが。」
「そうか。」
「文緒さんは何かストレスでも溜まっているのか。」
「例えば牛島さんの溺愛が負担になりつつあるとか。」
「やめろ白布何気に洒落にならねぇ。」
「だからって危ねぇだろ文緒っ。」
「ごめん、五色君。」
「槌装備したのがまさかここで役に立つとはな。」
「あっ、蛙のやつが足引きずってるっ。」
「疲れてるみたいだねぇ、そろそろ終わっちゃうカナ。切断組はできれば尻尾壊しよろしくネン。」
「はいっスッ。」
「承知しました。」
「隼人クンは頭よろー。」
「おっしゃっ。」

気を取り直してプレイヤー達はうなりながら足を引きずってエリア移動をするモンスターの後を追い、外野組はしばし静かに様子を伺っていた。

「正面来るヨー。」
「後ろ回りまっす。尻尾壊すから文緒も入れっ。」
「うんっ。」

五色に言われて文緒はゲーム機を操作、スピーカーからガシャンという音が響き画面では文緒が瀬見に借りているキャラが走りながら斧の形だった武器を剣の形に変えている。

「なるほど変形する武器か。」

若利は感心して呟いた。