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【ユーリ!!!】2人分の1

第3章 春


ヴィクトル・ニキフォロフが長谷津に来た。
勇利の滑った離れずにそばにいてがネットにアップロードされて、拡散されて、それからすぐにヴィクトル・ニキフォロフが勇利のコーチになるなんて噂が流れて、さらにすぐにうちにヴィクトルが来たと勇利からメールが来た。ちょっとよくわからない。展開が速いぞ。

桜まじりに雪が降るなんてちょっとおかしい日が、まさにそのおかしい現実を表現してくれていた。そういう粋な演出は多分勇利も望んでないよ。

とりあえずあとでそっち行くね、なんてメールに了解とだけ返したのが数時間前。もう日も暮れた頃に渦中の人物らはやってきた。
いつも通りのはずの入店を知らせる鈴の音がちょっと騒がしく聞こえる。

「ごめん遅くなって!」
「ハーイ!勇利の親友さん!ヴィクトル・ニキフォロフです」
「どうも、藍坂ユラです」

銀髪をはらりとかき上げながら何事もないかのように英語で話しかけてくるヴィクトルに自分も英語で応対する。対する勇利はもう疲れきった、と言いたげな顔でカウンターに座った。

「本当ありえないでしょ……」
「勇利なんて言った?英語で喋って。俺にわかるように言って」
「早速振り回されてるねえ」
「振り回してないよ!?勇利のことを知りたいからいろいろ見せてもらってるだけ」
「だってさ勇利。ミスターニキフォロフ、」
「ミスターとかいいよ、ヴィクトルって呼んでほしいなあ。勇利の友達でしょ?じゃあ俺の友達でもあるよね!」

すげえオープンだなリビングレジェンド。勇利のヴィクトルオタクには負けるが、自分もスケートオタクだからヴィクトルのことはよく知っている。でもこんなフレンドリーな人だとは思っていなかった。これは勇利は大変かもしれない。っていうか弟子の友人は友人ってどういうことだ。

「じゃあヴィクトル、これカフェモカです」
「Oh!アリガト、美味しそうだ!」

なんとなくヴィクトルにはホイップを乗せたモカを、勇利にはいつも通りにラテアートを施したラテを渡した。勇利はカウンターに突っ伏しながらも受け取ったマグをヴィクトルが覗き込む。

「Amazing……!繊細でとても綺麗だ!」
「はは、ありがとう」
「なんでユラは普通に受け入れて会話してるの……」

まだ受け入れられてないけど、会話はしないとだろう?
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