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日章旗のデューズオフ

第4章 SSS キャラ×男主:漫画作品篇(―/2日更新)



★GK杉元佐一(同衾主続き)

「名前くん、男の人が好きなんだって?」
「…………」
杉元が急に爆弾を投下してきた。ここは奉天じゃ無いんだけどな。驚いた拍子に脚がコードに引っ掛かり、横着して片付け損ねた掃除機の柄を派手な音と共に倒してしまった。昼食終わりのゆったりとした時間にとんでもねぇ緊張が走る。転んだふりをして膝を折ると、慌てた様子で杉元が飛んできた。
「大丈夫か!」
「……ひゃい」
全く大丈夫じゃねえ。あの山猫野郎は何故わざわざ杉元に俺の性的倒錯をバラしたのか。いじめっ子みたいな真似をするなんて予想外だ。杉元のことは友好的に思っていたし、波風なんてこれっぽっちも立てたくなかったのに。
「旦那様が言ったんスね……」
「ああ、まあ、そう。あいつなりに敵に塩を送ったつもりらしい。だから君の口から直接聞くまで信じないって啖呵切ったんだけど……その反応だと図星かな」
「……別に隠してたわけじゃないんです」
「言ってくれたら良かったのに」
ケツの自衛したかったってこと? 生憎だけど俺は突っ込まれる側だから大丈夫。でもそんなことを伝える訳にもいかず、悔しくて苦しくて滲む涙を飲んで鼻を啜る。
「名前くん、泣くなって」
「……泣いてない、です」
杉元は一度唾液を嚥下し、俺の肩に添えていただけの掌を滑らせて二の腕を掴むと力任せに上体を引き起こしてきた。至近距離で向き合う形になった杉元の顔のなんと真剣な事。
「佐一、さ……」
「言ってくれたら、とっくに気持ちを伝えてたよ。こんな気持ち久しく抱いたこと無かったから気付くのも遅くなっちまった。……名前くん、俺は君の事が――」
「待っ――」
その先は聞けなかった。瞬きの狭間に、まるで風みたいに、杉元の姿がふっと消えてしまったのだ。部屋の奥では荷物の崩れる音がした。

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