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【ONE PIECE】 淡く、儚い、モノガタリ 【ロー】

第2章 別離。







「うわあ゛ぁ゛あ゛ぁ゛ああ゛…、っ!!!」
「───────シェリルっ、!!?」


歪んだ視界の中。

涙を流しながら、喚きながら。
今、見えているモノが、現実なのか、夢なのか。
わからなくて、怖くて、泣き叫んだ。
真っ赤なままの背景が怖くて、何度も瞬きをするけれど、消えない、「赤色」。


「シェリル…ッ、シェリルっ!!」
「う゛ぅ゛ううぅ゛うう゛───────っ、!!」
「しっかりしろっ、シェリル・ウェルストッ!!」


俺だ、トラファルガー・ローだ…っ、

肩を押さえられ、過呼吸ぎみの私は彼に、視点を置く。
彼の表情には、焦りと、心配の感情しか見えない。
左頬に、手が触れた瞬間、ひ…っ、と声が漏れた。


「は…っ、…はぁ、はぁっ、!!」
「シェリル…、」
「ううぅうう…っ、!! ろぉ……っ!!」
「なんだ、怖い夢でも見たのか? …大丈夫だ─────、」


俺が、傍にいる…。

彼は私を見つめながら、そう言い、ふわっ、と優しく抱きしめた。
涙が一筋流れ、スゥ…ッ、と視界から、気味の悪い「赤色」が消えていく。
手首をぐっ、と握られた、気持ち悪い感触も、消え去っていく。


「…う、ぁ……、」
「大丈夫だ、シェリル。…お前は─────…、」








──────────俺が、守ってやる。









「…………、?」


その言葉が、妙に引っかかった。

ギュッ、と服を握りしめ、彼を引き寄せる。
握っていないと、触れていないと、消えてしまうそう、だと感じた。
そんな私の心境に気づかず、彼は、微笑んで抱きしめる。


(…痛い……、)


彼の腕が、大きく見えた。

いつの間に、彼はこんなに私よりも大きくなったのだろう。
彼は、周りの人たちから、よく、表情が読めない子、と言われていた。
だけど、私は、彼が笑っているのも、悲しんでいるのも、すべて分かった。


(だけど…、分からない、)


瞳の奥に、宿っている、モノ。

優しい眼差しの奥に秘められた、前々から宿っていたもの。
今はそれが、確かに存在感を表している。
彼が今、何を考えているのか、理解できない、分からない…。


(なんで、泣いてるの…、??)






―心の底で、泣き喚いて…、―
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