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【ONE PIECE】 淡く、儚い、モノガタリ 【ロー】

第2章 別離。


ローside
*  *  *  *


「…だ、だれ…っ、?!」
「……シェリル…」


明らかに、怯えている。

彼女は、左手に持っていた傘を投げ捨て、俺の左腕にしがみついた。
寒さもそうだろうが、ガタ…ッ、ガタッ、と震えている。
どしゃぶりの中、そのまま彼女は、雨に濡れた。
シェリルの綺麗な青い瞳に、濁りが宿っている…。


「フフフッ!! …そう、警戒するな、」


シェリル・ウェルスト…っ、

耳にこびり付くような、嫌な声が、彼女の名を呼ぶ。
シェリルはビクッ、と震え、顔色を真っ青に変えていた。
俺の腕を掴んでいる手が、徐々に下へ下がっていく。
彼女の変化に気づき、すぐさま、崩れ落ちるギリギリで引き寄せた。


持っていた傘が、落ちる。


「─────シェリルッ、!!」
「…ぅ、あ…っ、」
「おいおい、気絶かよ…、失礼だなぁ…」
「失礼なのはどっちだ、いきなり現れて…ッ、」


早くそこからどけッ、!!

傘もささずに、ずぶ濡れの男2人の間をすり抜ける。
ぐったりしているシェリルを抱え、家の中に入り、カギを閉めた。
唇が真っ青な彼女を、ソファに横にして、上着、服、と脱がせる。


(緊急事態だ、仕方ねぇ…っ!!)


その上に毛布を被せ、ストーブを焚いて、部屋を暖める。
ひんやりとした、彼女の肌に赤みがさして、ホッと胸を撫で下ろした。
刀を持ち、窓からそっと外の様子を覗くと、まだ、あの男2人は相変わらず立っていた。


「────チッ、アイツ等ッ!!!」

「…………、」
「……………?」


(雨の音で…、何にも聞こえねぇ…、)


瞬間、パッと目があった。

そして、サングラスをかけた男が、口角を吊り上げて口をゆっくりと、動かした。
その言葉を頭が認識し、持っていた刀に力がこもる。









─────またな、











―雨の中、外に、飛び出した…、―
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