第1章 プロローグ
「ただいま」
レイハは玄関に置かれた山積みの段ボールをどかしながら部屋に入る。
「おかえり、どうだった、学校」
奥から母が顔をのぞかせた。
「…うん、一応友達も、できたよ」
はっきり言って友達など出来なくてもいいから、あと約1年頑張って卒業さえできればいいと思っていたのだが。
しかし1人1人のキャラが濃すぎる上に、皆レイハに興味津々でなかなか返してくれなかった。
そしてその中で意外にも、ジュエリー・ボニーと仲良くなった。
自分とは何とも正反対な彼女だが、見かけによらず話してみるととても面白かったし、帰りも一緒に帰ってきたほどだ。
「それより、まだ荷ほどき時間かかるでしょ。明日学校休んで手伝おうか?」
「いいのよ、お母さんがやっておくから。こうなったのも、お母さんのせいだしね」
ごめんね、と苦笑いする母に、胸が苦しくなった。
「ううん、お母さんのせいじゃないよ。ここで2人で頑張っていこう?」
もう、私たちは自由なのだから。