第2章 きっかけ
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(ん?)
キッドの空っぽのはずの机の中に、少し厚い、白い封筒が入っていた。
ガサガサと開けてみると小銭が何枚か入っていた。
(…あー、いらねェっつったのによ)
自分の斜め前の方に姿勢良く座りノートをとっているレイハを見つめる。
昨日、自分に礼を言ってきた彼女の顔を思い出す。
顔を赤くしてまともに自分の方も見れずにオドオドとしていた。
いままでつるんできたことのないタイプの女だけに、どう接していいかわからない。
ボニーのように悪態をつくわけにもいかないし、シオンや他の女友達のように…なんてもってのほかだろう。
清楚で、透き通るような透明感をもつ彼女は、自分のような男が関わってはいけないような気がする。
ただ、彼女の存在がどうしても目に入ってしまう。
(クソ…なんだっつーんだよ)
そんな自分が気色悪くて、眉間にシワが寄る。
心を無にしようと、机に突っ伏して眠りに落ちるのをひたすら待った。