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【HQ】1年シンデレラ

第8章 モデルのお仕事


ちょっとの間、押し問答したけど、どちらも折れない。
先輩の言う事だから、私が従った方が良いんだろうか。
いや、本人同士は納得していても周りの目があるから、やっぱり駄目だ。

「いーじゃん。友達が普通に呼び捨てで呼び合うくらい。」

どうやって納得して貰おうか考えていたけど、それは無駄に終わった。

灰羽さん、改め、リエーフは、さっき少し仕事をご一緒しただけで私を友達として分類したらしい。
こういう、思い込みで突っ走るタイプは何を言っても意味がない事を私は‘ある人’のお陰で知っている。

「分かりました。じゃあ、リエーフって呼ばせて貰いますね。」
「敬語もなし。友達なのに、それってオカシーだろ?」

最後の抵抗とばかりに、口調は崩さずに折れてみたけど、それも駄目なようで敬語も諦める事になった。

「了解。でも、他に人がいる時は敬語使うから。」
「別にいーじゃん。友達なんだから。」
「それは、駄目なの。社会人としての常識だから。」
「俺は気にしねーよ?」

リエーフが気にする、気にしない、ではない。
私が冷たい視線を浴びる事になるのだから、これくらいは譲って欲しい。

そう思っても、聞いてくれる訳はない。
納得したフリをして、他の人がいる時だけは敬語を使えば良いだけの話だ。

「分かったよ。リエーフは友達だから、普通にタメ口で話させて貰うね。」
「宜しくな、りこ。」

そこまで了解すると、手を握られてブンブンと勢いよく振られた。
本人は握手のつもりなんだろうけど、地味に腕とか痛い。

この後、携帯の番号を交換し、暗くなってきたから、と駅まで送ってくれたリエーフ。

ちょっと突っ走る系で、能天気っぽくて、軽そうだけど、仕事には真剣で。
そういう所は素直に尊敬出来る、有名人の友達が出来た。
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