第6章 生活
...それから数日後。
「...よし!」
ぽかぽか暖かい陽気の午後、
私は腕まくりをして、雑巾を握っていた。
今からすることは勿論、掃除。
何故掃除なのか。
それは、どんな仕事をすれば良いのかを
与えられなかったから。
(思った通り、信長様に伺っても、
『特にない』って返されたからね。)
私の予想は見事、的中してしまった。
(当たらなくていいんだけどな、そんな所...。)
心の中で苦笑しながら、そばにある桶の水で
雑巾を濡らす。
そして、ぎゅーっと絞り、床を拭いていく。
(私、結構、掃除好きなんだよなぁ。
綺麗になったら嬉しいし、気分が良くなるから。
後は、なんか、無心になれるし。)
出来るだけ丹念に床を拭いていく。
途中で、汚れた雑巾を洗いながら
また、同じ動作を繰り返す。
その時の自分はまさに
無心そのものだった。
目の前の床のことしか、
見えていなかっただろう。
そうやってしばらく拭き続けた。