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CRIME【気象系BL小説】

第3章 convivência


信号が青になると共に一斉に人混みが歩き出す。
けれど…俺の足は…アスファルトに張り付いた様に…動けなかった。


雅紀「翔ちゃん…」


雅紀の呼び掛けにも答えられない。


ゆっくりと…彼と…奥さんが近付いてくる。
スラッと背の高い…綺麗な女性。


横断歩道を中央まで渡って来た所で…智くんは俺の存在に気付いた。


「………」


一瞬顔を曇らせた後…彼は軽く頭を下げて歩みを止めずに素通りした。


通り過ぎる時に…聞こえた声。
久し振りに聞く…彼の声。


智妻「知り合い?」


智「ん?ちょっとね。取引先の会社の人。何度か話しただけだけどね…」


『何度か話しただけだけどね…』


雅紀「あいつ…」


「雅紀…!」


彼の元へ向かおうとした雅紀の腕を掴む。


「平気…平気だから…」


雅紀「でもあんな言い方…!」


「奥さんには…関係ないから。産まれてくる子供にも…」


雅紀「………」


「だから…いい…大丈夫…」


雅紀「………分かった」


いつの間にか…信号は赤へと変わっていた。


雅紀「今日飲みに行こう。ね?」


「………うん。ありがとう」


雅紀の手が…しっかりと俺の肩を叩く。


ありがとう雅紀…。
雅紀のお陰で…俺は現実に戻る事が…出来たんだ。
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