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私と彼との関係 R18

第2章 夏の話


「えっと、恵利姉ちゃんってさ、前にヴィクトルの事が苦手って言ってたでしょ?
でも僕は2人が仲良くなってくれたら嬉しいなって思ってたんだ。
だからさっきご飯一緒に食べてくれて嬉しかった!ヴィクトルはなんか上の空だったけど…って、ごめん、話が逸れちゃった。
えっと、2人が仲良くなるきっかけがあればいいなってずっと思ってたんだ。
それでね、今日僕がバレエ出身って話になった時に恵利姉ちゃんがミナコ先生にバレエ習ってるって話したら見たいって言うから連れていったんだよ。
だから少しくらい走ってきても大丈夫」

にこにこと笑顔で話す勇利は珍しく饒舌だ。
それだけさっき私が一緒にご飯を食べた事が嬉しかったのかな?
だけど私は今別のことにショックを受けてしまった。

「私、勇利の練習を邪魔しちゃってたの?」

本当に小さな呟きだったと思う。
けれど近くにいた勇利の耳はその言葉をしっかり拾ってしまっていた。

「え?なんでそうなるの?違うよ!僕が今日レッスンだから今行けば見れるって言ったんだ!僕が誘ったんだ!」

ああしまった。やってしまった。愛しい弟を悲しませてしまった!
いくらショックだったからってどうしてこの子の前であんな言葉を漏らしてしまったのだろう。

でもね、勇利、残念だけど違わないのよ。
勇利は私と彼を仲良くさせたかったんでしょ?
ずっとその事に気を取られながら練習してたんでしょう?
それが邪魔じゃないなら一体なんだと言うのだろう?
泣きそうな、でも悔しそうな顔で必死に私のせいじゃないと訴えてくる弟に、とてもじゃないが私の考えを伝えることはできなかった。

ああ神様。どうしてこんないい子のコーチがあんな下半身のだらしない、節操無しの我が儘男なのですか?


「ごめんね、お姉ちゃん心配になっちゃってて、もう勘違いしないからね」

すっかりご機嫌を損ねてしまった勇利を抱きしめて、あやすように背中をとんとんとたたいてやれば、子供扱いしないでよと拗ねた声で言いつつも、離れようとしない可愛い弟に私はとても癒されたのだった。


「…じゃあ僕走ってくるから」

「はーい、気をつけてねー」

勇利を見送り、受付に戻る。
お客さん来なくて助かったな、なんて思ったのもつかの間。
いつの間にいたのか

「エリ、今日もよろしくね」

白皙の美貌が笑顔を向けて来た。
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