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【HQ】繋がる縁の円

第23章 期間限定sharing.


毎日毎日、みつとりんさんが言い合いをしては、それに派生して赤葦さんと月島くんも険悪になる。

こんなもの、休みもなく見続けていたら気が狂いそうで。
出来るだけ、皆の争いを見ないようにする為に、私は家から逃げた。

近々、再開する予定のかおるさんの店の手伝いの名目で、そっちに入り浸っている。

ただ、元は一緒に暮らしていた2人だ。
私の性格をよく知っている2人だ。

食事の時間になっても帰らず、手伝いを優先する私の姿に違和感が無い筈はない。

「ねぇ、りらちゃん。あの家で何かあった?」
「何もなかったら、飯の時間気にするもんな。りらちゃん、人の飯作んの好きだろ?」

案の定、すぐに気付かれてしまった。

心配を掛ける訳にはいかないと、分かっている。
黒尾さんだって、放っておけと言っている。

皆に仲良くしていて欲しいのは、
あの家で心地好く過ごしていたいのは、
私の勝手すぎる願いだ。

「何も、ありませんよ。皆さん、最近は引っ越し関係で忙しいようで、食事は各自でって話に…」
「嘘だな」
「嘘ね」

必死で考えた誤魔化しも通用せず、多分笑ってしまったであろう顔を指摘するように指差す2人。

「りらちゃん、誰かと喧嘩でもしたの?」
「だったら、早く謝っちまえよ。他の奴等が気にするだろ?」

違うと示す為に首を振るので精一杯だ。
口を開いたら、喧嘩をしているのは、険悪なのは、誰かと言ってしまいそうになっている。

「俺等は先に家を出たけどな、アイツ等は皆仲間だ。これからも、ずっと、ジーサンバーサンになっても、だ」
「私も同じ。だから、喧嘩してるなら仲直りして欲しいと思ってるよ」

喋らない私に対して、次に掛けられた言葉。

それは、私を説得する為のものじゃなく、

2人の、想いであり、願いだった。

ただ、それを知ったところで、何か出来る事があるとは思えなくて。
いや、正直に言えば、行動する勇気が無くて。
この日も、遅くまで手伝いをしてから帰宅した。
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